INNOVATIVE CITY FORUM INNOVATIVE CITY FORUM

キックオフ ディスカッション

参加者も積極的に議論に参加し、創発する場として設けられた本セッションは、今年度「ビッグデータ」がテーマ。3名の気鋭のジャーナリストを中心にした、小規模なグループに分かれる前に、注目のオピニオンリーダー2名がプレゼンテーションを行いました。
まず、ビッグデータとAIを活用した人事支援サービスを手掛ける福原氏が、人にどれほどのバイアスが潜在し、採用に悪影響を及ぼしているのかを説明し、ビッグデータやAIを使って意思決定1つひとつを可視化することの重要性を唱えました。次に、憲法学者の山本龍彦氏が、ビッグデータが進む社会のリスクを、世界の多様な事例から訴え、積極的な利用にも慎重さは忘れてはいけないと訴えました。

分科会1:ビッグデータは今後どこまで進むのか?

モデレーターのNewsPicksの佐々木紀彦氏と、ビッグデータ関連事業を手掛ける起業家たちの議論は、データを取られるのは仕方がないと諦観する“プライバシーニヒリズム”の台頭を浮かび上がらせました。一方、ゲノムなどの高度な個人データに関しては、人類の未来のために公正で建設的な使い方がされるのであれば問題ないのではないかという楽観的意見も多く挙がりました。そういった中、次代を生きるスタンスとして、自主的に学び、疑問や倫理観を持って自己決定することが重要、と結論づけられました。

分科会2:ビッグデータは民主主義や資本主義をどう変えるのか?

BUSINESS INSIDER JAPAN統括編集長の浜田敬子氏がモデレーターを務めた会では、ビッグデータは独占するのではなく、社会で共有財産化するべきだという意見が出ました。その追い風として、既にGAFAなどの巨大プラットフォーマーも、個人と企業が価値を共創する「シェアードバリュー」の理念を重視していることや、アリババでも以前から「CtoB」というマインドが培われていることが紹介されました。言い換えれば、企業が今後成長するためには、データを通じて個人へ価値提供しなければならないと位置付けられたのです。

分科会3:ビッグデータの世界を、個人としてあなたはどう生きるのか?

ハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏のもと始まった議論では、民主主義下でデータが幅を利かせることによるデメリットが列挙され、「常に情報操作されて寛容性が失われる」「何でもレコメンドされることで個人の意思決定における自由が失われる」といった不安の声が挙がりました。AIが強大化する時代潮流は不可避であるものの、個人がアルゴリズムや理屈を飛び越えて物事を見ることのできる柔軟なバランス感覚を持ち、納得感や自己肯定感を大切にしていくことが重要だという結論に至りました。

フィードバックセッション

分科会後のセッションでは、ビッグデータやAIは負の側面が強調されがちですが、集団を一色に染めるだけでなく、そこから多様な面白さを発見できる媒体になる、と言及されました。さらに、社会問題を解決するというような納得感の高い活用ができるようになれば、ビッグデータの存在意義もポジティブになり得る、という前向きな見解も共有されました。

その他の開催レポート

関連事前インタビュー

読み物一覧