六本木と虎ノ門で見つめ直す、都市と私たちの関係性

六本木と虎ノ門で見つめ直す、都市と私たちの関係性

私たちはTOKYOという都市を存分に機能させられているのでしょうか。もっと使い倒す、遊びつくすことを通じて、都市の価値を高められないのでしょうか。時代の転換期にいる今、このような発想で考えてみるのもいいかもしれません。

10月、InnovativeCityForum2016と共に、幾つかの大きなイベントが六本木と虎ノ門で開催されます。それぞれのイベントをご紹介しながら、発想を逆転させる糸口を探っていきたいと思います。

六本木アートナイト

チームラボの猪子寿之氏は、2014年のICFにおいて「都市がクリエイティブになるためには、寛容的であるべき」とコミッティーの南條氏と話していました。

アート作品が美術館でなく、街中に展示されていたら。作品鑑賞を昼間ではなく、夜から朝にかけてゆっくり眺められたら。このような寛容的な発想のもと、六本木の夜の表情をより一層豊かにするアートイベントが、この六本木アートナイトです。

2009年に一夜限りのアートイベントとしてスタートし、7回目の開催となる今回は、東京2020オリンピック・パラリンピック等のキックオフイベント「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」に合わせ、開催時季を前年までの春から秋に移し、さらに会期も1日延長されました。

―― 概要 ――――――――――――――――――――――――――――
日時:10/21(金)~10/23(日)
場所:六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン ほか六本木近辺
入場料:無料(一部のプログラムは有料 *下記にてご確認ください)
詳細:http://www.roppongiartnight.com/2016/about.html
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参加したことのある方なら、“確かにこういうのもありだな”と寛容な思いがこみあげてきたのだと思います。そういった感情が発想の転換にうまく繋がれたらとも思います。

一方、まだ参加したことがない方には、写真を見ていただくことをお薦めします。写真を通して、あの六本木という街が夜にどう変化するのか想像してみてください。

プレイグラウンド(遊園地)をテーマに展開される今年は、子どものように無邪気な気持ちで楽しめるアートやパフォーマンスが繰り広げられます。

都市という限りある時空間の中で、「夜」という新しい切り口でTOKYOの可能性を探ろうとしているイベントとも言える、六本木アートナイト。75ものプログラムの中にはきっと私たちの固定観念を覆し、TOKYOという街の新しい遊び方、楽しみ方が見つけられるでしょう。

Wired Conferrence2016 ―FUTURE DAYS―

パソコンが登場するずっと前の時代にも「テクノロジー」は存在し、その最前線を追いかける“テック・ジャンキー”たちは存在していたでしょう。彼らは時には土器、時には電子機器を主題に、知見を共有し、夢を語り、そして事業を構想してきたのだと思います。

現代の“テック・ジャンキー”が信頼してやまないメディア「Wired 日本版」がこの度、「ビジネス+カルチャー+テックのオルタナティブな未来を夢想・構想する」と題し、国内外から専門家を参集する越境型カンファレンスを開催します。

―― 概要 ――――――――――――――――――――――――――――
日時:10/20(木)
場所:虎ノ門ヒルズ
入場料:有料(*下記にてご確認ください)
詳細:http://wired.jp/futuredays2016/
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このイベントは、ICF2016の登壇者でもある北野氏を始め、ジャパニーズ・シンギュラリティの父とも言われる宇宙物理学者の松田卓也氏や、データから人間を読み解く医学者・石川善樹氏など、まさにテクノロジー界のトップランナーが参集する貴重な機会です。

本イベントは、若林編集長の挨拶を皮切りに、以下のテーマそして登壇者で進行します。

「ぼくはクリプトアナキスト」ルイス・アイヴァン
「『第2局・黒37手』はなんだったのか?」マイケル・レドモンド×石川善樹
「分散型台帳は新しい地球のOS」斉藤賢爾
「AI。腸、免疫系としての」北野宏明×安宅和人
「音・声・世界」川原繁人
「未来は女性的なのか?」安田登
「西周と知の新しい地図」山本貴光 ×ドミニク・チェン
「会社よさらば:脱中央型自立組織・論」ジャック・デュ・ローズ
「エクスポネンシャル・オア・ダイ」佐宗邦威
「スパコンがコピー機サイズになる日」齊藤元章
「次は、2029年だ」松田卓也

このテーマは気になる、この登壇者の記事もしくは著書を読んだことがある、など目に留めていただけたものもあったでしょう。知的好奇心の誘うままに参加するのも良いと思います。

ちなみに、このカンファレンスの最後には、19時から1時間ほど懇親会が開催されます。先端的なテーマだからこそ、同じ感度の人と意見を交わし、自身の価値観や知識を相対化できる懇親会は、職場でもなかなか持ちえない貴重な場・ネットワークになるかもしれません。本カンファレンスに参加される方は、懇親会参加も検討することをお勧めします。

スポーツ・文化・ワールド・フォーラム

サッカー日本代表の本田圭佑氏がアンバサダーに就任したことでも注目が集まる「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」とは、五輪を始め大規模なスポーツイベントを開催することで、世界の注目が日本に集まる中、スポーツ、文化、経済の分野から2020年、そしてその先に向けた日本発の新たな価値を創造する国際会議です。

ICFとしても取材させていただいた準備室リーダーの藤沢久美参与も、「2020年及び2020年の先に向けて、日本はもっと元気にならなければいけません。そのために、「Co-Creation, Co-Growth」というキャッチフレーズを掲げ、みんなが自分たちで何かを見つけながら、作り上げていく、それのスタートにしましょう」と開催への強い意気込みを語っています。

―― 概要 ――――――――――――――――――――――――――――
日時:10/20(木)~10/22(土)
場所:六本木ヒルズ
入場料:有料(*下記にてご確認ください)
詳細:http://wfsc2016.mext.go.jp/
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本フォーラムの目玉は何といっても登壇者の錚々たる顔ぶれ。トーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長、フィリップ・クレイブン国際パラリンピック委員会(IPC)会長、ビル・ボーモンドワールドラグビー会長、クラウス・シュワブ世界経済フォーラム(WEF)会長等をお招きします。

同時に、日本からプレゼンテーションにおいては、宮本亜門氏、チームラボ、蜷川実花氏、十一代目 市川海老蔵氏等、カルチャー日本代表とも呼べる布陣でショーケースを行ないます。TOKYOの魅力は何か、海外からの評価はどれほどか、といった視点で参加されると、新しいTOKYO像が描けるかもしれません。

他にも、官民ワークショップなど多様なプログラムが用意されています。

また、「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」では、計画よりも実行に価値を置いており、その具体的な行動を起こすために、海外の人達における日本への投資及びビジネス展開の意欲の向上を目指しています。実は、Innovative City Forumと連携しているのは、都市開発や都市、新しいビジネスや産業という観点から、海外の方に日本の魅力、そして投資・ビジネスチャンスとを伝えるという狙いが込められているからなのです。

このように、六本木および虎ノ門ではこの秋、TOKYOの未来、そして私たちの未来を考えるきっかけとなるイベントが目白押しです。実際に足を運んでみて、“TOKYOという街をもっとこう使おう”と主体的に動けるヒントのようなものを手に入れていただけたらと思います。